刑事法研連

日本学術会議刑事法学研究連絡委員会について

刑事法学研究連絡委員会(以下、刑事法学研連と略記する。)は、日本学術会議法15条、日本学術会議会則13条に基づいて日本学術会議に設置されている機関である。すなわち、研連は、「科学に関する研究の領域及び重要な課題ごとに、第三条第二号の職務〔科学に関する研究の連絡を図り、その能率を向上させること〕の遂行に資するため必要な事項を調査審議させるため」に日本学術会議に置かれているのである(法15条)。日本学術会議には、人文科学部門及び自然科学部門の区分により7部が置かれており、刑事法学研連は、日本学術会議施行令第2条により第2部(法律学、政治学)に属する。

第18期

1 組織

刑事法学研連は、会長が指名した会員及び会長が登録学術研究団体である日本刑法学会及び日本犯罪社会学会から委嘱した委員をもって構成するものとされている。

第18期の構成員は、次のとおりである。

(1)役職者
委員長 川端 博(明治大学教授・第2部会員・刑法学会)
幹事  岩井宜子(専修大学教授・第2部会員・犯罪社会学会)
幹事  新倉 修(青山学院大学教授・刑法学会)

(2)委員(五十音順)
石塚伸一 (龍谷大学教授・犯罪社会学会)
酒巻 匡 (上智大学教授・刑法学会)
佐久間修 (大阪大学教授・刑法学会)
白取祐司 (北海道大学教授・刑法学会)
山口 厚 (東京大学教授・刑法学会)

2 活動

(1)定例の活動
科学研究費補助金審査委員の推薦
国際会議参加者の推薦
研究連絡事項の審議
2002年10月・刑事司法資料の保存と公開の学術的意義(下記参照)
(2)特別活動
シンポジウムの開催
2002年5月・被害者をめぐる今日的課題(下記参照)


2002年10月25日の公開会議

刑事法研連は、「刑事訴訟確定記録の保存」について継続的に慎重な審議を続けており、次回の委員会において次のとおりヒヤリングを行う予定である。

テーマ 「刑事司法資料の保存と公開の学術的意義」
講師 竹澤哲夫弁護士
日時 2002年10月25日(金)13:00~16:00
場所 日本学術会議(東京都千代田区)
会議形式 公開(傍聴可能)

2002年5月11日のシンポジウムの報告

刑事法学研連では、各期においてそれぞれタイムリーなテーマを掲げてシンポジウムを開催してきており、今期も開催することを最初の委員会において決定し、その準備に取り掛かった。テーマの決定、パネリストの選定と演題の決定、会場、進行方法等につき2年がかりで検討を重ね、下記の要領で開催に漕ぎ着けた。

テーマ 「被害者をめぐる今日的課題 ―― ストーカー行為等規制法、児童虐待防止法、DV防止法の施行を契機として」
主催 刑事法学研究連絡委員会・専修大学
日時 2002年5月11日(土)午後1時30分~午後5時
場所 専修大学神田校舎303号教室(千代田区神田神保町3-8)
プログラム ① 開会の挨拶
川端 博(日本学術会議第2部会員、刑事法学研連委員長、明治大学教授)
② 共催者代表挨拶
出牛正芳(専修大学学長)
③「三法制定の意義と法的課題」
岩井宜子(日本学術会議第2部会員、刑事法学研連幹事、専修大学教授)
④「三法施行後の現状と警察の取り組み」
中村 徹(警察庁生活安全局生活安全企画課課長補佐)
⑤「三法施行と弁護士の役割
角田由紀子(弁護士)
⑥「児童虐待の現状と児童福祉機関の取り組み」
西嶋嘉彦(大阪府立修徳学院自立支援課長)
⑦「被害者・加害者への心理的ケアのあり方」
小西聖子(武蔵野女子大学教授)
⑧ 休憩後討論

当日は講堂兼大教室の会場に300名近くの参加者が出席し、パネリストの興味深い報告に聞き入り、休憩後の討論は活発であった。それぞれの専門的立場から具体的経験と事実が報告され、それを基礎とする質疑応答には白熱するものがあり、当該テーマに対する関心の強さが伺われた。シンポジウム終了後に開催された研連委員会では、このシンポジウムは大成功であったと総括された。


第19期

刑事法学研連は、第19期から新たに学協会として「犯罪学会」が加わり、より幅広い視野からの活動を展開することになった。

1 役員及び委員

第19期の役員及び委員は下記の通りである。
(1)役職者
委員長  川端博(明治大学教授・刑法学会)
幹事  岩井宜子(専修大学教授・犯罪社会学会)
幹事  佐伯仁志(東京大学教授・刑法学会)

(2)委員(五十音順)
石塚伸一(龍谷大学教授・犯罪社会学会)
後藤弘子(千葉大学教授・犯罪学会)
佐久間修(大阪大学教授・刑法学会)
白取祐司(北海道大学教授・刑法学会)
高橋則夫(早稲田大学教授・刑法学会)

2 シンポジウム

刑事法学研連は、2004年6月18日に北海道大学クラーク会館講堂において、「少年非行と“責任”を考える」という新たな観点からのテーマを掲げてシンポジウムを開催した。総合進行役は佐久間委員が担当し、岩井委員の司会でパネル・ディスカッションと質疑応答を行った。研連委員長の開会挨拶の後、共催者である北海道大学の大学院法学研究科長,日本学術会議北海道地区会議代表の挨拶がなされた。
まず、白取委員の「少年非行と“責任”─企画の趣旨・総論」の報告において、シンポジウムの趣旨が詳細かつ明確に説明された。佐伯委員は、「少年非行と“責任”─少年の法的責任について」の報告において、刑事法学の立場から、非行少年の法的責任を概観した上で、少年法における少年の責任を論じられた。相澤重明・札幌家低裁判所主任調査官は、「少年非行と“責任”─家裁の現場から」の報告において、少年非行における「責任」が問題となる背景、非行を犯した少年の責任、非行を犯した責任を少年に自覚させるための調査、審判について調査官の立場からの考察を示された。内田信也・弁護士は、「少年非行と“責任”─付添人活動の現場から」の報告において、少年院送致になった少年の付添人をした体験及び少年犯罪により死亡した子の遺族代理人として損害賠償請求訴訟を提起した体験を踏まえて、付添人活動における「少年の保護育成」と「被害者救済」のジレンマに関して切実な告白をなされた。高橋委員は「少年非行と“責任”─少年の修復責任について」において、修復的司法における責任とその実現可能性について報告された。さらに指定討論者である佐藤一・北海道新聞社記者から「少年事件に対する一つの見方」と題する具体的事件に関する報告を受けた。そして、指定討論者の石塚委員及び後藤委員から各報告者への質問とコメントがなされた。これを受けてフロアから質問が出され、活発な質疑応答が展開された。非行少年により殺害された子供の母親から、涙を流しながら「真実の解明」の必要性が主張され、保護司からは、今回の企画は重要であり今後も続けて開催してほしいとの要望が出されるなど実に印象深いことであった。
また、2004年10月22日に青山学院大学において、公開シンポジウムを刑事法学研連と日本犯罪社会学会の共催で開催した。シンポジウムのテーマは、「少年非行の最前線―子どもを非行から守る家庭そして社会がどうあるべきかー」であり、企画趣旨は次のとおりである。すなわち、「少年非行の増加やその凶悪化が連日のように報道されているが、犯罪社会学者の目から見れば、それは必ずしも実態を反映していない。本公開シンポジウムは、少年非行の実態を把握しようとする最前線の研究の結果をわかりやすく紹介し、人々に少年非行現象の理解をふかめてもらうことを目的とする。少年非行の原因やプロセスを探究し、家庭や社会全体などの視点から少年非行の予防や非行少年の更生の方策を考えてみたい。

3 国際会議への代表派遣

刑事法学研連は、18期及び19期において国際交流を活発化する方針を決めて積極的に国際会議への出席を推進して成果が認められ、平成16年度は刑事法学研連として初めて同一年度内に三つの国際会議に会員を派遣することが出来た。これからも国際交流の実をあげることを目標としている。

4 刑事法学研連の将来

既に御案内のとおり、日本学術会議法が改正され、これまでの期制度は2005年9月末日限りで廃止されることが決まっている。それにともない日本学術会議研究連絡委員会(研連)も廃止されることとなった。刑事法関係の3つの学協会から成る刑事法学研連も、もうすぐ幕を閉じるのである。研連委員に代わるものとして「連携会員」が選考委員会によって選出されることになっている。19期は、それまでの「つなぎ」の役を演ずることになる。

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